腎臓病の概要とその症状
腎臓の役割はいろいろありますが、その中心的な機能は、体内で一日およそ200リットルもの血液をろ過し、不要な成分や有害物質を体外に尿として排出することにあります。
腎臓病は、その腎臓の機能が低下し、老廃物や余分な物質・水分が外に排出できなくなる病気(腎炎)です。
腎臓病は、症状の持続が一年以内の「急性」のものと、一年以上続いて病変が元に戻らない「慢性」のものがありますが、とりわけ注意したいのが後者の慢性腎臓病、「慢性腎炎(まんせいじんえん)」です。
これは、日頃の生活習慣が非常に大きくかかわってくる病気と言われています。
逆からみると、腎臓病の治療・改善のためには、生活習慣の改善、なかでも食生活の見直しが、大きな効果を発揮するわけです。
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「慢性腎臓病(慢性腎炎)」は、10~40歳くらいに多く見られ、特段の自覚症状もないために、健康診断や妊娠時の
検査などで偶然この病気が見つかるケースも多いようです。
尿検査でたんぱくが陽性と診断されるか、血液検査でGFR(糸球体ろ過量)が低下した状態が3ヶ月以上続くと、慢性腎臓病と診断されます。
国内の慢性腎臓病の患者数は、およそ400万人に達すると
されます。
この病気の主な症状はたんぱく尿・血尿・むくみ・高血圧
などですが、腎臓病の種類によっても、症状はさまざまに
異なってきます。
ただし、一般に腎炎でもっとも重要な症状は「たんぱく尿」で、病状が進行すると、尿内のたんぱくも増えてきます。
慢性腎臓病のなかでも特に多いのが、「慢性糸球体腎炎(まんせいしきゅうたいじんえん)」と「糖尿病性腎症」です。
「慢性糸球体腎炎」は、腎臓において老廃物をろ過して尿をつくる役割を果たす「糸球体」という部分に、障害が起きる病気です。
また「糖尿病性腎症」は、インスリンの作用が不十分なことから起きる「糖尿病」によって引き起こされる病気で、高血糖が続くために腎臓の血流が阻害され、腎機能に障害が起きる病気です。
腎臓病が進んでくると、「高血圧」「高脂血症」「貧血」などの症状があらわれます。
これらの病気は全身の血流などを阻害し、腎臓の機能を低下させるために、腎臓病そのものもますます悪化してしまうという、典型的な悪循環を引き起こします。
また、全身の血管状態をもっとも鋭敏に反映する臓器である腎臓に血管障害が起きているわけですから、他の臓器が血管障害を起こす危険性も、大きく高まります。
その結果、脳卒中や心筋梗塞・心不全などの危険性も倍増するとされています。
現在は、糖尿病や高血圧から腎臓病に以降する患者が過半を占めています。
そのため、糖尿病予備軍が増加しつつあるこの日本では、将来的に糖尿病から慢性腎臓病に進み最終的には透析治療を行うしかなくなるであろう患者の、大幅な増加が懸念されているのが現状です。
腎臓病の治療~病状進行を抑えるための食事療法と投薬療法が中心
慢性腎臓病の治療のためには、このような悪循環を断ち切るためにも「食事療法を中心とした生活改善」が、きわめて重要だとされます。
すなわち、日頃から腎臓に過度の負担をかけぬよう、低たんぱく・低塩分の食事をとるようにします。
たんぱく質を多量に摂取すると腎臓の負担が高まるため、その制限と減塩によって、慢性腎臓病の悪化を押さえつつ、腎機能の良化をはかっていくわけです。
ただし慢性腎臓病のための食事療法を行っていると、カロリーの摂取制限を伴いがちなことから、エネルギー不足による栄養障害のリスクを同時に抱えることになりがちです。
したがって、食事療法も自己流ではだめで、専門医の指導のもと、食品成分表を使いながら一日の必要カロリー摂取量を計算しながら行うなどの比較的きめ細かな調整が必要になりますので、注意しましょう。
また日常生活において、腎機能に負担が過度にかからぬよう、働き過ぎを避けて規則正しい生活をおくる、安静にして体に抵抗力をつける、などのアドバイスが医師から成されることも多くあります。
慢性腎臓病の治療は、病院では内科(腎臓内科)で診察を受けることになります。
現時点では確立された特効薬があるわけでなく、食事療法と症状に応じた投薬療法が中心になります。
投薬においては、「原疾患となる病気を治すための薬」「慢性腎臓病の進行そのものを押さえる薬」さらには「高血圧や貧血などの症状に対する薬」の大きく3つがあり、病状に応じて適切な薬を飲むことによって、最大効果を引き出すことを狙っていきます。
慢性腎臓病が末期になると腎臓が萎縮し、機能的にも正常時の10分の1程度の働きしかできなくなってきます。
そうなると尿の出が悪くなり、心血管系や神経系にさまざまな症状を呈するようになりますが、これは「尿毒症」と呼ばれています。
治療においては、毒素を押さえてこの尿毒症の進行を防ぐ薬が使用される場合もあります。
また高血圧などの症状に対しては、血管の収縮を押さえる薬なども近年登場してきており、高い効果があるとして注目されています。
いずれにせよ投薬治療の効果を最大限にするためには、早期治療がひとつのポイントとされていますので、是非注意しておきたいものです。
腎臓病の透析治療とは
食事療法や投薬療法によっても症状の改善が見られない、あるいは上述した尿毒症など慢性腎臓病の症状がかなり進んでいる段階では、「透析治療」や「腎移植」が検討されることになります。
逆から言えば尿毒症になってしまった場合、これらの治療を行わない限りは必ず死んでしまいますし、透析治療を定期的に行うことによって、普通の生活を長い年月にわたって続けることが可能になっているのです。
透析治療とは、身体の外にある装置を腎臓の代わりとして不要な老廃物や毒素を排斥し、不足している物質を補う治療です。
週に三回ほど通院して、腹部にカテーテルを埋め込み、透析液を腹膜内に入れて老廃物を除去し、血液の浄化を行うものです。
透析治療を受ける患者の数は年々増加の一途をたどっており、2006年までの20年間で患者数は3.6倍も増加、現在は26万人超にも達しています。
透析治療をきちんと行うことで、極端な話、腎機能を完全に失ったとしても生存できるといわれますが、この治療は一回で4~5時間、週三回の通院と多大な時間を費やす、大変に負担感が強いものです。
透析にはこのほかにも、自宅でもでき、携帯バックで透析液を持参することで旅行なども可能な「腹膜透析」といわれる療法もあります。
しかし、いったん透析療法となった場合はそれこそ一生のつきあいとなってしまいますし、高い次元での生活の自己管理が必要です。
また、長期の透析治療によって、感染症などの合併症がでるリスクもあります。
したがって、慢性腎臓病がそこまで大きく進行する前に、専門医の指導のもと早期治療をはかるようにしたいものです。
そして予防と早期発見のためにも、年に一回は必ず尿検査・血液検査を受けるようにしましょう。
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